「この検査」を受ければ、一生安心!

 対策としては、「肝炎ウイルス検診」をオススメします。肝炎ウイルス検診という名前ですが、「肝臓がん検診」と言ってもいいでしょう。

 医療者など日常的に血液を扱う職業の人は普段から感染のリスクがあるので別ですが、多くの人にとって、肝炎ウイルス検査は「一生に一度受ければいい検査」です。

 肝炎ウイルス検診は基本的には40歳から受けることができます。「若いときに罹患し、ウイルスが肝臓に潜伏し、中年になってから発症」というパターンが多いため、40歳というタイミングでの検診になっているのです。

 もし陽性だったとしても、ウイルス肝炎の治療薬は現代では非常に進歩しています。特にC型肝炎なら飲み薬だけで治療できるのです。

 検査が陰性なら非常に安心できるので、コストパフォーマンスのいい検査なのですが、残念ながら受診率はかなり低いのが現状です。

たった3割しか受けていない!

 啓発活動は行われているものの、対象者の3割程度しかウイルス検査を受けていないといわれています(※2)

 残りの7割の人の中で、未診断の肝炎ウイルスが静かに肝臓をボロボロにし、とり返しのつかないことになるケースもあります。

 採血するだけで手間もかからない検診です。肝炎ウイルス検診を受けないのはかなりリスキーで、もったいない選択だと思いませんか?

 肝炎ウイルス検診は今の法律(健康増進法)では基本的に1回しか受けられません。

「40歳になったらさっさと肝炎ウイルス検診を受けておく」、これが肝臓がん予防のベストチョイスでしょう。この検診はお住まいの自治体や保健所で受けられます。40歳を過ぎていて、まだ検査をしていない方は早急に検診を受けることをオススメします。身近な人にぜひ教えてあげてください。

【出典】
※1 Ikai I, Arii S, Okazaki M, et al.Report of the 17th Nationwide Follow up Survey of Primary Liver Cancer in Japan. Hepatol Res. 37 9 )): 676 91, 2007
※2 肝炎検査受検状況 実態把握事業成果報告書 2011年版

※記事初出時に誤記があり、以下を修正しました。「繊維化」を「線維化」に修正(2021年10月2日14:46、ダイヤモンド社書籍編集局)