動画や写真が撮れる、そのままSNSで世界中に発信することも可能。いつでも誰かとつながっていられる……スマホはとても便利な道具ですが、それだけに付き合い方が難しいのかなと感じることもあります。スマホで撮影されながらクレームに対応する、病院の待合室でスマホに没頭する患者へ対応するなど、「スマホ時代ならでは」のクレーム対応について考察します。(エンゴシステム代表取締役 援川 聡)
スマホは、クレーム対応も複雑にした
便利でなくてはならない存在になった半面、付き合い方が難しくなっているのがスマートフォンだと思います。先日起きた、「歩きスマホ」で女性が電車にはねられるという痛ましい事故は、みなさんの記憶にも新しいでしょう。スマートフォンの“顔の見えない誰かと、ずっとつながっていられる”という便利さは、個人的には表面上のことでしかなく、実際には一人一人が抱えている孤独感を増幅させることになるのではないかと思ってしまいます。際限のないスマホの利用時間と比例するように、不安のコントロール(制御)が利かなくなっていくのです。
そんなスマートフォンは、クレーム対応の現場でも、その普及とともに存在感を増してきました。いわば、誰もが“ビデオカメラ”と“音声レコーダー”を24時間365日持っているようなものです。
実際に現場でも「この商品、不良品だと思うのですが、説明してもらえますか?」と、スマホ片手にクレームをつける利用者の対応をしたこともあります。そう、スマホで撮影しながらクレームをつけているのです。スマホなら、撮影した内容をリアルタイムで世界に発信することも可能です。少しでも対応に不備があり、SNSなどで拡散された場合のダメージは相当なもの。こうした状況でのクレーム対応には、これまで以上にさらに大きなストレスがかかるのです。