臨時総会は理事でなくても
招集することができる?

 臨時総会の招集について、少し詳しく見ていこう。マンション標準管理規約には、臨時総会の招集について次のような規定がある。

 A理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる(第42条4項)。

 B監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる(第41条2項)。

 C組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議であるときは、2カ月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない(第44条1項)。

 Cは複雑な内容になっているが、簡単に言うと「組合員が組合員総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求できる」ということだ。つまり、臨時総会を招集できるのは、A理事長(理事会)、B監事、C組合員(総数の5分の1の同意)、ということになる。

 まず注目したい点はAだ。通常総会の場合、「理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2カ月以内に招集しなければならない。(第42条3項)」という規定に基づき、理事長の判断で招集することができる。

 それに対して、臨時総会の場合は、Aに「理事会の決議を経て」とあるように、理事長だけの判断で勝手に総会を招集することはできない。

 そもそも理事会の理事長は、マンションの管理者として大きな役割を担う立場にあり、リーダーとして大切な存在だが、あくまでも理事の中から互選で選ばれた代表者であり、理事会では理事の1人としての1票しか持っていない。要するに理事長は、臨時総会の招集に際しては、「理事長」という立場での権限は有していないということである。