マンションでは年に1回、総会を開催することが法律で義務付けられている。これを「通常総会(定期総会)」と呼ぶが、必要に応じて「臨時総会」も開催でき、理事会以外の区分所有者でも招集することができる。「理事会と区分所有者の意見が対立して困っている」「ワンマン理事長の暴走を阻止したい」などという悩みがあるなら、臨時総会がそれらを止めるための“武器”になり得ることを知っておくといい。上下2回で解説する。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)
総会は管理組合の
「意思決定の最高機関」
たくさんの人々が共同生活を送るマンションでは、建物の維持、管理から住民間の生活をめぐる事柄まで、常に幅広い問題がつきまとう。そうしたマンションが抱えるさまざまなことについて話し合い、組合員(=区分所有者)の意思を統一して決定を下す場が「総会」である。
反対の言い方をすれば、マンションの諸問題に対処するには、総会にそれらを議案として提案し、組合員の合意形成をはかる必要があるということだ。たとえ組合員の代表である理事たちが、理事会でどれだけ時間をかけて話し合った議案だとしても、最終的には理事以外の組合員から承認を得なければならない。つまり、総会は管理組合の「意思決定の最高機関」なのだ。
総会には「通常総会(定期総会)」と「臨時総会」の2種類がある。通常総会は、マンション標準管理規約では、管理組合の新会計年度開始以後2カ月以内に開催することが定められており、毎年1回は開催しなければならない。
通常総会は理事長が招集して開催され、年間の収支報告や活動報告、予算の審議、理事の選出などについて決議が行われる。
一方、通常総会以外で、重要事項の決議が必要な場合に開催されるのが臨時総会だ。