理事会と理事に疑いが生じたら
監事の権限で臨時総会を招集できる

 話をBの「監事が臨時総会を招集する」場合に戻そう。監事が臨時総会の開催を求める場合、先に引用したマンション標準管理規約第41条5項に、「理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき」、または「総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実」や「著しく不当な事実があると認めるとき」とあるように、その目的は理事(理事長)の行為や理事会の業務の執行に関するものであるケースが多い。

 監事の仕事は、前述のように業務監査と会計監査である。業務監査とは、管理組合の業務が適切に行われているかをチェックすることで、たとえば管理組合の業務が、管理規約や使用細則、そして総会決議などに基づき、適切に運営されているか、あるいは総会で承認された事業計画で予定されている点検や清掃、修繕工事などが適切に実施されているかを監査する。

 一方の会計監査とは、管理組合の財産の管理が適切に行われているかをチェックすることで、たとえば前年度の総会で決議された予算に基づいて適切に支出が行われているか、用途の分からない支出が行われていないかを監査する。

 これらの監査において不正があると認められる場合に、監事は臨時総会を招集することになるわけだ。

 実際に、理事長と会計担当の理事の行動に疑惑を持った組合員が、手を挙げて監事に就任し、監査をした結果、彼らが管理組合のお金を横領しようと企んでいたことが発覚したケースもある。当然ながら、その監事は権限を発動して臨時総会を招集し、理事長と会計担当理事は満場一致で解任に追い込まれている。

 すでに説明したように、監事は理事会においては議決権を持っていないが、独立した機関として臨時総会を招集することができる強い役職である。あなたのマンションでも、理事会がうまく機能していなかったり、組合員の多くが理事会のやり方に強い不満を持っていたりするようなら、監事に立候補してみてはいかがだろうか。

 Cの「組合員(総数の5分の1の同意)による臨時総会の招集」については、次回の記事(10月1日(金)公開予定)で説明したい。

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