金融庁が、システム障害を多発させているみずほ銀行とみずほフィナンシャルグループに業務改善命令を出した。検査が続く中での異例の行政処分となったが、金融庁の“真意”はどこにあるのか。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
金融庁はみずほのシステムを
本当に「共同管理」するのか?
「検査の途中で業務改善命令を出す、しかもメガバンクに出すというのは、あまり例がないのは事実。だが、もう他に手がなかった。これ以上、重大なトラブルを起こさせるわけにはいかない」(金融庁幹部)
9月22日、金融庁は、今年2月末以降、システム障害を多発させているみずほ銀行とその持ち株会社であるみずほフィナンシャルグループに対し、業務改善命令を発出した。
具体的には、みずほが年内をめどに予定しているシステム更改、更新等の計画について、その必要性や緊急性、銀行業務に及ぼすリスクを踏まえ再検証や見直しを求める。実行期限は原則10月29日まで。再検証や見直しをしても行うべき更改、更新等がある場合は、適切な管理態勢の確保の仕方も含めた計画の提出を要求する。
一連のシステム障害を巡り、金融庁はみずほに目下、立ち入り検査を実施中だ。金融庁が、検査終了を待たずして行政処分を下すのは異例の措置といえる。
明らかに一歩踏み込んだ今回の処分は、一部では「金融庁がみずほのシステムを共同管理する方向」にかじを切った証左かのように受け止められた。
しかし、金融庁に国有化しているわけでもない民間金融機関のシステムを管理する権限はない。
もっと言えば、みずほのシステムは後述する第三者委員会の報告書で「巨大であるが故に、全体像を完全に把握することが容易ではない」と指摘された “難解”な代物だ。そんなシステムを管理する能力が自身にないことも、金融庁は重々心得ている。
今回の処分によって、金融庁がみずほのシステムの運用計画を従来以上に細かく確認していくことになるのは間違いない。とはいえ、みずほのシステムの在り方などについて主導的に意見していくような「共同管理」の意味合いは薄い。
では、金融庁がこんな異例の命令まで出した“真意”は、いったいどこにあるのか。