幼稚園の連絡帳は
70年も前から存在した

 これは以前、母の連絡帳を読んだ私が、自分と息子とのあまりのシンクロぶりに驚き、心のままに綴った記事だ。当初掲載したnoteでは、現在進行形でお子さんの登園しぶりに悩む保護者の方から、すでに子育てを終えたご年配の方、親元をはなれて暮らす20代の方まで、幅広い世代から反響をいただいた。

 そこで、ふと思った。そもそも連絡帳は、いつからこの世に存在しているのだろう?と。

 1980(昭和55)年に出版された『戦後保育史』によると、すでに1950(昭和25)年には、“母親と先生が”連絡を取り合うための「家庭連絡簿」として存在していたようだ。

 1950年といえば、終戦からまだ5年。もともとあった保育所は多くが焼失したが、奇跡的に焼け残った園で、少しずつ保育が再開されていた。子どもを通わせるのは、おもに戦争で夫を亡くし、働く必要のある母親だったという。

 ……それから、約70年がたった今。

 連絡帳はもう、母親と先生のためだけのものではなくなっている。