プルデンシャル生命保険で「前人未到」の圧倒的な業績を残した「伝説の営業マン」である金沢景敏さん。営業マンになった当初はたいへん苦労しましたが、あることをきっかけに「売ろう」とするのをやめた結果、自然にお客様から次々と「あなたからサービスを買いたい」と連絡が入るようになりました。どうすれば、そのような営業スタイルを作り上げることができるのか? 本連載では、金沢さんの初著作『超★営業思考』を抜粋しながら、その「秘密」をお伝えしてまいります。
山頂にたどり着くルートは「無限」にある
何かうまくいかないことがあるときに、僕はよく「登山」をイメージします。
例えば、山頂を目指して、登山口から登り始めたけれども、崖崩れで道が塞がれていたとしましょう。あなたなら、どうするでしょうか?
ある人は、「これでは登れない」と判断して引き返すかもしれませんが、僕は、そういう発想をしません。
別の登山口から登っていけばいいし、その登山口もダメだったら、登山道を外れてでも山頂を目指すでしょう。山の麓のどの地点からでも山頂を目指すことはできる。自ら登山道を切り拓けば、必ず山頂には辿り着ける。山頂に至る「道」は無限にあると思うのです。
これは仕事でも同じです。私は保険の営業マンとして、経営者とコネクションをいかにつくるかが課題でした。その山頂をめざすために、当初、有力な税理士さんに経営者を紹介していただく方法(業界では「税理士マーケット」と言います)を試してみましたが、これは僕には向いていませんでした(詳しくはこちらの記事)。だけど、僕はそのことに落胆することはありませんでした。「税理士マーケット」という「手段(登山口)」にこだわる必要はなく、別の「登山口」を探せばいいと思ったからです。
そして、次に着目したのが「交流会」でした。
法人マーケットで成果を上げている営業マンを見ていると、経営者をはじめとするアッパー層が集まる「交流会」に参加して、そこでコネクションをつくっていることがわかったからです。
そこで、早速、いろいろな交流会に顔を出してみました。
こういうときも、まずは、とにかく「量」をこなすことが大切ですから、短期間に足繁く交流会に参加。ただし、新しい行動をすると、すべては「振り出し」に戻ります。交流会の参加者に名刺を差し出すと、営業マンになりたての頃と同じように、「なんだ、プルか……」という対応をされることが何回もありました。
でも、もうそのような扱いには慣れていました。
相手の人は何も悪くない。むしろ、会って5分で「この人はすごい!」と思わせられなかった僕自身の責任。怒りは、相手にむけると刃になりますが、自分に向けるとエネルギーとなります。「自分をもっと磨かないとあかんな」と自然に思えたことは、自分の成長を実感する機会にもなりました。
元プルデンシャル生命保険ライフプランナー AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役
1979年大阪府出身。京都大学ではアメリカンフットボール部で活躍。大学卒業後、TBS入社。テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じて、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命保険に転職した。当初は、思うように成績を上げられず苦戦を強いられるなか、一冊の本との出会いから、「売ろうとするから、売れない」ことに気づき、営業スタイルを一変させる。
そして、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な業績をあげた。
2020年10月、プルデンシャル生命保険を退職。人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReebo(アスリーボ)株式会社を設立した。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。