「答え」を探すな、「答え」は作り出せ
ただし、この取り組みにも限界がありました。
たしかに、自分が交流会を主催することで、多くの方々とのご縁を広げることはできたのですが、参加者も多く、立食の交流会の場に、お呼びできるのは比較的若手の人々に限られるからです。交流会という場では、上場企業の経営者といった方々とのコネクションをつくることはできないのです。
そこで、僕は、徐々に交流会から、ごくごく限られた少人数での会食などへと移行することで、いわゆる「大物」とのコネクションを開拓していく方法を模索していくようになりました。これが、その後、僕の「営業」を劇的に進化させることにつながるのですが、それについてはここでは触れません。
ともかく、僕はこのようにして、経営者をはじめとするアッパー層とのコネクションを築いていくきっかけを掴みました。
当初、「税理士マーケット」を断念し、「交流会」という別の方法に足を踏み入れました。そこで、主催者の「影響力」をお借りしてご縁を広げていきながら、さらに、自分が主催者になるという「別の道」に進みました。そして、最終的には、交流会から少人数での会食へと歩を進めて、アッパー層とのコネクション構築という目的を果たすことができたのです。
冒頭のたとえ話に戻れば、僕は、「税理士マーケット」という登山口を断念し、「交流会」という別の登山口から山を登り始めたようなものです。
そして、その山道を歩きながら、さらに「自ら主催者になる」「交流会から少人数の会食」へとどんどん違う道へと歩を進めました。本人としては、途中からは、山道として整備されていない場所を、草木をかき分けながら、ひたすら「アッパー層とのコネクションをつくる」という山頂を目指して進んでいたような感覚です。その結果、僕なりの「山頂につながる道」をつくり出すことができたのです。
思い出すのは、僕が所属していた京都大学アメフト部の水野監督の言葉です。
「受験勉強には必ず“答え”ってもんがある。その受験勉強で結果を出した君ら京大生のアカンところは、すぐに“答え”を探そうとするところや。この世に、“答え”なんかない。“答え”は自分で作り出すものなんや」
その通りだと思います。
たしかに、受験勉強が上手だった人は、そのような「落とし穴」にはまる可能性があるように思います。どこかに、たった一つの「正解」があると思ってしまうのです。だけど、営業マンとして成功する方法は、100人いれば100通りあると思います。だから、僕のやり方が必ずしも「正解」であるとは限りません。
大事なのは、試行錯誤をしながら、山頂を目指して登り続けることだと思います。登山道が崖崩れで行き止まりになっていたら、別の登山口に回ってもいいし、道なき道を行ってもいい。「手段」を臨機応変に変えながら、しぶとく山頂をめざし続ければ、必ず、その人なりの「正解」に辿り着けるのだと思うのです。
言い方を変えれば、その人にとっての「正解」はどこを探してもない、ということ。どんな困難にぶつかっても、「山頂」をめざして試行錯誤を続けることでしか、自分なりの「正解」を作り出すことはできないのです。そして、あきらめずに工夫し続ければ、誰もが自分なりの「正解」を導きだすことができるのです(詳しくは、『超★営業思考』に書いてありますので、ぜひお読みください)。