日本初の培養肉スタートアップ企業が目指す未来とは

 ハンバーガー用に作られた世界初の培養肉は、200グラムで約3250万円。これに対して、100グラムわずか20円の培養肉作りを目指している企業がある。ほかにない手法で培養肉の大量生産を模索している日本のスタートアップ企業、インテグリカルチャーだ。

 インテグリカルチャーを率いるのは、オックスフォード大学博士課程を修了しているCEO、羽生雄毅氏。SFやアニメが大好きで、さまざまな媒体のインタビューによると、培養肉の製造を始めるきっかけは「SFの定番だから」だそうだ。

 このユニークな培養肉スタートアップ企業は、培養肉の値段を安く抑えるために、斬新な技術で向かい合う。なかでも特筆されるのは、培養に必要不可欠ながら、値段はダイヤモンドよりも高いホルモンのコスト削減を実現した技術だ。独自の細胞培養システムを開発し、動物の体内に似た環境を再現。その中でホルモンを作り出すことにより、従来よりも大幅なコストダウンが可能になった。

 こうして開発したシステムにより、フォアグラの生産にも成功。2021年末には東京都内の高級レストランに提供することを目標に動いている。インテグリカルチャーの想定では、培養肉の大量生産が実現し、スーパーで買えるようになるのは2028年ごろだとしている。

 インテグリカルチャーのホームページでは、近未来の家庭料理も提案。「近い将来、自分でお肉がつくれるようになったら、きっと楽しい」とうたって、培養肉を作るレシピを掲載しているので紹介しよう。

 その内容はまさに仰天ものだ。まず、牛と鶏、オマールエビの細胞を培養システムにセットし、培養液を注ぎ込む。そして数日待つと、牛と鶏、オマールエビそれぞれの魅力が混ざり合った培養肉が出来上がるというものだ。

 まさに、SFやあニメで描かれるような世界。じつはもう、そんな突拍子もない時代がすぐ近くまで来ているのかもしれない。

“謎肉”の日清食品が挑む、世界初の「培養ステーキ肉」

 カップヌードルに入っている“謎肉”をご存じだろう。日清食品によると、大豆由来の原料と豚肉を合わせ、野菜などを混ぜて味つけし、サイコロ状に固めたミンチだという。肉が入っているものの、植物由来の代替肉に近いものだ。

 その日清食品ホールディングスが、東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授と共同で、本格的な人工肉の開発に乗り出している。しかも、ただの培養肉ではなく、まだ誰も食べたことのない培養ステーキ肉。これは世界でも異例のチャレンジだ。