「一括見積もり査定」はするな!

(失敗パターン1)高値査定で夢を見るパターン

 複数の不動産屋に売却査定してもらった際に、選ぶ先は大方「査定額」が高いところになる。しかし、これが最も怖い。

 たとえば、仲介会社の「一括見積もり査定」をするサイトが存在するのは、いかに無知な売り主が多いかを表す不思議な現象であることがわかってもらえると思う。おそらく売り主は、高い査定結果が出たところを優先的に選ぶのだろうが、一括見積もりが5社ほどになると、各社とも高い査定を出してくるものの、その価格で売れる可能性は非常に低い。

 そうなると、嘘の上塗りをしている不動産屋にいいようにだまされることになる。そこで重要になるのが、「想定成約価格」を知ることだ。

 マンションの「想定成約価格」を知りたいなら、無料で調べる方法がある。中古時価はスタイルアクトが運営する「住まいサーフィン」(無料会員制)の「沖式自宅査定」でいつでも確認できる。これはマンションを選び、部屋番号を入れると、その部屋の今の想定成約価格が即時査定されるものだ。これの利用回数はすでに15万回を超えている。

(失敗パターン2)手数料割引でコスト削減できたと思うパターン

 どうせ売るのならコストは最小がいい、などと素人はしたり顔で言う。それが罠だと気づきもしない。

 マンションを売却する際に有名な不動産屋に依頼すると、売れる価格は安くなる傾向がある。ある大手仲介会社は、中古マンション査定で高い価格を提示し、専任契約を取り、他社には取引させないように囲い込んでいる。

 売却したい人は高く売りたいので、大手の名前を信用してしまう。しかし、その後は自社のサイトだけに査定価格で広告を出しておき、放置する。当然、価格が高いので問い合わせすら来ない期間が長く続く。意図的に行われるこうした手法は、業界用語で「干す」という。適正な相場価格なら3カ月以内で成約することくらい、彼らも重々承知している。

 いつまでも売れないので、しびれを切らした売り主に仲介会社が値下げを提案し、自分が見つけてきた買い手をあてがう。こうして成約に至った場合、「両手」と言って売り手・買い手双方から手数料3+3=6%を取ることができる。仲介会社の多くは、結局これがしたいのだ。こうした業者は売り手のために働いているわけではなく、自分の営業成績のために働いていることになる。