不動産投資 売りどき・買いどき#11Photo:PIXTA

不動産投資に対する不正融資は大きな社会問題になった。にもかかわらず、不動産投資には使えないはずの住宅ローンの利用を提案するような悪質業者はいまだに存在する。特集『不動産投資 売りどき・買いどき』(全11回)の最終回では、その悪質な手口に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

素人不動産投資家はかも
住宅ローン不正利用を勧めてくる

「素人投資家が焦ってよく吟味せずに高値つかみしてしまうケースが実に多い」と不動産投資家の依田泰典氏は打ち明ける。

 依田氏はコロナ禍以降、100人以上の個人投資家の相談に応じてきた。将来への不安が募るからか、不動産投資を始めたがる若い世代が多いという。

 悪質な不動産業者にとって、ルールに無知な素人は格好のかもだ。カネをむしり取るために、かつて社会問題にまでなった不動産投資での住宅ローン不正利用をいまだに勧めてくる。

 30代男性で金融機関に勤めるAさんは今年1月、不動産投資を始めようと、不動産業者の営業マンに「なるべく自己資金を使わず低金利で投資したい」と相談した。すると営業マンは悪びれた様子もなく、こう誘ってきた。

「住宅ローンで投資用不動産を買いましょうよ。区分マンションを買い、実際に自分が住まずに住民票だけそこへ移せばいいんです」