ロシアでは、かつて永久に凍っていると思われていた地盤が息を吹き返し、経済の屋台骨を脅かしている。ロシア政府の研究や科学者によると、この永久凍土層の融解は気候変動がもたらしたものだ。石油・天然ガスのインフラ設備の大半を含め、ロシア国土の約3分の2は永久凍土層の上に位置している。ロシアの平均気温は1976年以降、10年ごとにセ氏約0.6度ずつ上昇しており、これは世界全体の2.5倍に相当するペースだ(政府データ調べ)。鉱山や工場では凍土融解が主因となり、腐食による漏れやひび割れが目立ってきている。石油パイプライン業界では、凍土層にしっかり定着していた揺れ制御装置などで腐食が発生し、地盤の変化に伴い湾曲するなどの被害が出ている。こうした中、企業は巨額を投じて建物の強化や土壌の温度観察、最新の冷却システム導入に当たるなど、対応を迫られている。