近年、「介護脱毛」を検討するミドル世代が急激に増えている。まだ耳なじみのない「介護脱毛」とは何なのか。40、50代から介護脱毛を検討しはじめるようなのだが、なぜその年代で盛り上がりを見せているのだろうか。現場の声を聞きながら、メリットや代替案について解説する。(ライター・介護士 高橋幸一)
増加しているアンダーヘアを脱毛したいミドル世代
アンダーヘアの脱毛は、聞いたことがある人も多いのではないだろうか。その言い回しは、「デリケートゾーンのムダ毛処理」だったり「(デリケートゾーンの形になぞらえて)VIO脱毛」だったりとさまざまだが、いずれも同じ脱毛行為である。ちなみに欧米では「ハイジニーナ」と呼ばれ、清潔な行為として市民権を得ている。
これまでのアンダーヘアを脱毛する需要の多くが女性、とりわけ20~30代の女性が中心だった。「アンダーヘアを脱毛すれば、おしゃれな水着(下着)が着られる」「アンダーヘアを脱毛すれば、生理時の不快感が減る」という若い女性たちによるアンダーヘア不要論の声は今なお大きい。
しかし、同じ脱毛行為が、「介護脱毛」という新たな呼称で呼ばれ、従来とはまた別の動機でアンダーヘアの脱毛を希望する層が増えている。
リゼクリニックによると、「介護脱毛」は同社が命名し、2017年に発表した言葉。2010年10月から2019年9月末にかけて、45歳以上の男女の患者数は23.91倍と右肩上がりに伸びているという。なお、2014年10月から2019年9月にかけてアンダーヘア脱毛を契約した40歳以上の男性患者数は全院で12.9倍に推移。
性差問わずに、ミドル世代からの「介護脱毛」需要が急増していることがわかる。実際に施術をした患者の声を見ても、「自分が介護される側になった時のことを考えて……」と前置きする人が多いのだ。