中国の極貧村が、ネットショップ開設から10年で生まれ変わったワケPhoto:PIXTA

中国山東省の西南部に「曹県」という地域がある。漢服という中国伝統の民族衣装の生産などがさかんな地域だが、約10年前には中国でも特に貧困が深刻な地域として知られていた。官民一体となって貧困地域から脱却し、「稼ぐ村」へと生まれ変わることに成功したのである。いかにして曹県は変わったのか。(日中福祉プランニング代表 王 青)

「漢服」製作が盛んな曹県
日本と深い関係も

 10月1日は国慶節という中国の祝日に当たり、この日から7日間、大型連休となっていた。今回の連休では、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、海外旅行を諦めた代わりに国内を旅行する人が多かったようだ。中国の主要SNS、ウィーチャットには、旅行の写真がたくさんアップされていた。中でも特に目を引いたのが、女性が漢民族の伝統的な衣装「漢服」に身を包み、いろいろなポーズを取っている写真である。

漢服トレンドとなっている「漢服」を着た女性 写真:筆者の知人提供

 今、中国の若者の間で、「漢服」は一大ブームを巻き起こしている。もともと人気女優らが出演する宮廷ドラマの衣装として注目されたのだが、近年、中国の伝統的な要素にオリジナリティーを取り入れた「国潮」と呼ばれるファッションがトレンドになっており、その波に乗って漢服が注目を集めているのだ。

 漢服のファッションショーも行われているという。観光地だけでなく、市街地や住宅街でも漢服を着ている人が珍しくない。昨今の勢いもあり、愛好家は約700万人に上るといわれている。漢服は、日本の着物と同じく素材や刺繍(ししゅう)などにより価格はピンキリである。「2019年漢服産業報道」の統計によれば、最も多くの消費者に選ばれていたのは、100〜300元(約1700〜5100円)の価格帯だった。

 そんな漢服の大流行により恩恵を受けているのが、山東省荷澤市の曹県だ。現在中国で流通している漢服の3分の1は、曹県で作られているという。曹県には、2000を超える漢服関連企業がある。