改めて問われる
口蹄疫騒動の真の責任
宮崎県で一昨年、家畜の伝染病「口蹄疫」が猛威をふるった。約29万頭の牛や豚などが殺処分され、対策費として巨額の血税が投入された。まさに未曾有の事態だった。終息して約2年が経過したが、感染源や経路、拡大した原因などは未解明のままだ。この惨事に関する人々の記憶も薄れつつある感が否めない。
しかしここにきて、口蹄疫問題が再び世間でクローズアップされることになった。本日(11月26日)午後2時、口蹄疫の被害を受けた宮崎県の畜産農家などが、当時の宮崎県知事・東国原英夫氏などを、家畜伝染病予防法違反の疑いがあるとして、宮崎地方検察庁に告発したのだ。
告発したのは、被害農家らでつくる「宮崎県口蹄疫の真相を究明する連絡会議」(染川良昭代表)のメンバー42人。彼らは告発の理由などについて、間もなく記者会見を開く予定だ。いったい、なぜ今ごろになって口蹄疫をめぐる告発が行なわれる事態となったのか。
告発の直前に筆者が関係者への取材で得た情報によると、染川さんらはこれまでも、口蹄疫への対応に関する質問状を宮崎県に提出していたという。だが、弁明に終始しているとしか思えない県の姿勢に疑問を感じ、今回の告発に至った。「県が行なった対応をそのまま放置すれば、再び同じようなことが起きかねない」(染川代表)との危機感だ。
染川さんらが問題視しているのは、口蹄疫が蔓延する最中に宮崎県がとったいくつもの特例措置である。
宮崎県は感染が広がっていた2010年5月13日、家畜伝染病予防法に基づく移動制限区域内にいた県保有の種雄牛6頭を、特例として制限区域外に移動させていた。本来、動かしてはならないものを移動させたのである。県にとって貴重な種雄牛というのが、その理由とされた。