「仕事ができる人は、一文が短い」「一文を60字以内にすれば、書き手も読み手もラクになる」。そう話すのは、コピーライターとして30年以上活躍し続ける田口まこ氏だ。花王、ライオンなどのトイレタリー商品、資生堂、カネボウ、ポーラなどの化粧品を中心に、多数の広告コピーを手がけてきた。その田口氏が、伝わる・結果が出る文章をラクに書くコツを紹介した『短いは正義 ~60字1メッセージで結果が出る文章術』が9月29日に発売となった。メール、チャット、企画書、営業・プレゼン資料、報告書など、さまざまな場面に生きる、シンプルだけど効果抜群の文章術とは? 今回は、本書の内容を一部抜粋して紹介する。

「ポケットに1000曲」初代ipodのプレゼンに学ぶ、心に響く言葉の作り方Photo: Adobe Stock

スティーブ・ジョブズの“名フレーズ”の共通点とは?

 Apple社の創業者スティーブ・ジョブズは、新商品を見事なひと言で発表してきたことで有名です。

「ポケットに1000曲」(iPod)
「世界で1番薄い」(MacBook Air)
「速度は2倍、価格は半分」(iPhone3G)

 どれも、1度聞いたら忘れられないフレーズです。そして、共通しているのは、商品の一番の強みを数字に置き換えていることです。

「強み」を「数字」に置き換えよう

 短くて、記憶に残るフレーズをつくりたいときは、このように「強み」を数字に置き換えられないかを考えてください。「強み」を数字で表すだけで印象的なフレーズがつくれます。

 たとえば、「速い」という強みなら次のように数字で表現できます。

●素速く完成する新食品 → 1、2、3で完成する新食品

●あっという間に仕上がる → 1秒で仕上がる

「簡単」という強みであれば、このように変換できるでしょう。

●すべての操作がとても簡単! → 1クリックで完結!

●驚くほど簡単! → たった3ステップ!

 そのほかにも、多くの強みは数字で表現できます。〇回、〇秒、〇日、〇倍、〇%、〇グラム……など、数字に置き換えられないか考えてみてください。それだけで記憶に残る言葉が簡単につくれます。

(本原稿は、田口まこ著『短いは正義 ~60字1メッセージで結果が出る文章術』からの抜粋です)

田口まこ(たぐち・まこ)
コピーライター
京都府出身。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)美学美術史学科卒業後、一般企業を経て、広告制作会社ライトパブリシティに入社、コピーライターとなる。大塚製薬「ポカリスエットステビア」「カロリーメイト」などを担当し、「ジャワティ」の雑誌シリーズ広告で、コピーライターの登竜門「東京コピーライターズクラブ新人賞」受賞。その後フリーランスとなり、女性向けの商品広告を中心に活動。ライオン、花王、P&Gなどのトイレタリー商品、資生堂、カネボウ、ポーラ、ランコム、フローフシ、ロート、ファンケルなどの化粧品のコピーを多数手がけ、現在も第一線で活躍中。コピーライター歴は30年以上。著書に『短いは正義』『伝わるのは1行。』(かんき出版)がある。東京コピーライターズクラブ会員。