「傷つきやすい人」といって多くの人がイメージするのは、敏感で繊細な気質で知られるHSPの人かもしれません。でも他にも、内向的な性格の人、心に大きな傷を負った経験のある人、毒親育ちの人なども傷つきやすさを抱えています。また、一見、傷つきやすさとは正反対といえる社交的・積極的な性格なのに、実は人知れず傷つきやすさを抱えて悩んでいる人も現実には意外に多くいるのです。
みさきじゅりさんは、自身の傷つきやすさに長く悩んできたHSS型HSPで、HSP研究の第一人者、E・アーロン博士の専門家認定プログラムを修了したキャリアコンサルタントです。そんなみさきさんの著書『とても傷つきやすい人が無神経な人に悩まされずに生きる方法』には、ご自身の体験や、傷つきやすさに悩んで相談に訪れた方々に日々アドバイスしていることなどが書かれています。ここでは本書から再構成して紹介します。(初出時より再構成いたしました)(初出:2021年10月23日)
傷ついた心をケアしよう
HSP研究の第一人者エレイン・アーロン博士の専門家認定プログラム、日本人初の修了者。HSP専門のカウンセラーであり、キャリアコンサルタント(厚生労働省認定国家資格)
自身もナイーブな感受性と好奇心の旺盛さを併せ持つ「刺激追求型」のHSP(HSS)。
青山学院大学国際政治経済学部卒業後、東芝に入社。その後、ノキア・ジャパン、シリコンバレーのスタートアップ、アジア系IT企業などで、法人営業、外国人エンジニアの人材育成、大学生就活支援を経験。2017年、キャリアコンサルタントの国家資格取得。
2018年、アーロン博士の「専門家認定プログラム」を修了。アーロン博士のサイトにてHSPに精通しているキャリアコーチとして正式に登録されている。クライアントは日本国内にとどまらず、ヨーロッパ、アジアなどからも訪れる。2018年9月、アーロン博士の講演を含むHSP Gathering Retreatsに唯一の日本人として参加するなど、国内外におけるHSPの最新動向に詳しい。著書に『ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本』(秀和システム)、監修に『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家』(おかだちえ 著 ぶんか社)、『「敏感すぎて疲れやすい人」がおだやかに暮らしていくための本』(中島智子 著 秀和システム)などがある。
<撮影:松島和彦>
傷つきやすい人は、普通に暮らしているだけで人の何倍も傷ついてしまうリスクがあります。
無神経な人がいてもいなくても、やわらかくて繊細な心に傷を負う機会が多いのです。その分、こまめに心のケアをしていきましょう。
そこで、日々できる心のケアを3つご紹介します。ふだんの生活に取り入れてみてくださいね。
ホッとする空間をつくろう
・ひとりになる
トイレの個室でホッとする方は多いと思います。
ひとりになるとホッとするのは、物理的距離がとれている証拠。あなたの心の陣地に戻る大切な一歩です。
ひとりになることは、傷つきやすい人にはたいへん重要なことです。
手触りのいいハンカチや文具はありますか?
・やわらかいものに包まれる
やわらかいものを持ち歩くとよいでしょう。
ホッとする手触りのハンカチや文具をそろえましょう。
自宅では、ホッとできる感触の寝具や部屋着ですごし、肌触りのよいものに囲まれていましょう。
自分で自分を抱きしめる
・体に意識を向ける
たとえば、自分で自分を抱きしめてみてください。恥ずかしくてできない、という方は、手のひらをもう片方の手の甲や太ももに置くだけでもかまいません。
グッズを使う方法もあります。ビーチタオル、厚手の毛布など重みのある布で体を覆います。重みを感じる毛(weighted blanket)やシルクの毛布もよいでしょう。
それらで体を覆ったとき、包まれるような感覚を味わいましょう。
喜怒哀楽を我慢しなくていい
心のケアをして安心してくると、こらえていた感情がこみあげてくる場合もあります。
楽しかったこと、嬉しかったことは、じっくりかみしめましょう。
怒りや悲しみ、さみしさがこみあげてきたら、怒ったり、泣いたりしてよいのです。
話を聞いてくれる人や、話を聞いてもらえる場があれば、話してみてよいのです。
喜怒哀楽をそのまま表現することも心のケアです。