半導体需要の急拡大を背景に、足元で好調な業績が続く半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス。過去には株式市場から「見放された」時期もあった同社だが、現在は収益性の改善が進み、企業買収によって製品の裾野も広がっている。そんなルネサスエレクトロニクスが、今後さらに市場からの評価を高めるには何がポイントとなるのだろうか。(SMBC日興証券株式調査部 花屋 武)
好調のルネサスエレクトロニクス
再評価に必要な「3つのポイント」とは
今回は半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスの再評価に必要なポイントについて解説したい。旺盛な半導体需要を背景に、業績が好調なルネサスエレクトロニクス。SMBC日興証券では、この足元の好調さは今後も継続する可能性が高いと考えている。
過去を振り返れば、2011年3月に生じた東日本大震災において自動車メーカーのサプライヤーとしての同社の重要性が際立ったものの、2010年代前半は赤字が継続。その後のマネジメントの混乱も含め右往左往の印象が強く、株式市場からも一時見放された存在であったともいえよう。
一方で、ここ数年で会社の内部は改善してきていると考える。過去1年では新型コロナウイルス感染拡大による自動車業界の需要増減からの影響はあったが、営業黒字が継続している。また、利益率の改善も着実に進展している。
そして、2017年の米インターシル、2019年の米IDT、直近2021年8月の英ダイアログ・セミコンダクター(以下ダイアログ)買収により、規模感だけでなく、これまでのデジタルおよび車載関連に偏った製品ポートフォリオからアナログ半導体、産業、インフラ、IoT関連へも裾野が広がっている。
そんなルネサスエレクトロニクスが、今後さらに市場からの評価を高めるには以下3つのポイントが必要と考える。
(1)引き続き利益率改善が追求されること
(2)これまでの買収によるシナジー効果を含めたトップライン(売り上げ)の成長
(3)純有利子負債の削減に伴う、株主還元の復活
同社の現在の状況を踏まえ、順番に説明していこう。