コロナ感染が落ち着いた今、少しずつ筋トレを

 コロナ感染拡大の局面では、どうしても巣ごもりによる運動不足になってしまいます。私が診療に携わっている「いわきFCクリニック」(福島県いわき市)の日曜スポーツ診療所では、子供たちやアスリートのケガの発生傾向を分析しています。昨年から今年の初めにかけてはコロナ自粛で活動期間が短かったため、皮肉なことに子供たちの過負荷(OVERLOAD)系のケガは全般的に減少しました。

 しかし、コロナ第1波、第2波、第3波明けには、一時的に過負荷(OVERLOAD)系のケガが多発しました。今までの練習不足分を取り返そうと負荷をかけ過ぎてしまったのです。また、足関節捻挫などの外傷も増加しています。練習不足に加えビタミンD不足で筋力やバランス保持能力が低下し、転倒などのリスクが増し、ケガの発生に拍車をかけた可能性もあります。

 第4波、第5波と続いた緊急事態宣言がようやく解除され、感染者数も減ってきました。気持ちは開放的になりますが、運動量を急に増やさないようにくれぐれもご注意ください。この時期にコツコツと筋トレを行うことが、ケガ予防には大切です。寒くなる冬はとかく運動不足になりがちです。もしも第6波が来たら再び巣ごもり生活になるかもしれません。コロナ禍においては、日常の少しずつの筋トレとビタミンDを取り入れた食事、日光浴を心掛けながら、運動するときには「欧州式ケガ予防」3つの基本を実践して体を守ってください。

 ケガ予防のストレッチ「自宅でできる症状別・疾患別運動プログラム」を詳しく知りたい方は、順天堂大学保健医療学部ホームページ「ステイホームでも本格的なリハビリを!オール順天堂が実現させた在宅運動プログラム」をご覧ください。

(監修/順天堂大学大学院医学研究科スポーツ医学・再生医療講座 特任教授 齋田良知)

◎齋田 良知(さいた・よしとも)順天堂大学大学院医学研究科スポーツ医学・再生医療講座 特任教授、整形外科・スポーツ診療科准教授。日本スポーツ外傷・障害予防協会代表理事。いわきFCクリニック(福島県いわき市)院長。関節痛やスポーツ外傷の新規治療「多血小板血漿(PRP)」注射を駆使した治療で、地域住民の健康増進とスポーツサイエンスの両輪を追求。中高年者から東京五輪金メダリストなどトップアスリートまで幅広い層から絶大な信頼を得る。かつて医師とプロサッカー選手との二刀流を目指した元アスリート。スポーツドクターとして、イタリアプロサッカーリーグの世界最高峰、ACミランに帯同し、ヨーロッパ式科学的トレーニングや予防医学を体得。順天堂医院(東京・お茶の水)、常磐病院(福島県いわき市)にてPRP療法、いわきFCクリニックにてPRP-FD療法を行う。順天堂医院では脂肪由来幹細胞治療も実施中。
【問い合わせ先】順天堂医院PRP外来初診予約窓口:03-5802-1932 (直通)
URL:https://www.juntendosrm.com/
近著に『最強の医師団が教える長生きできる方法』(アスコム)。