“普通の暮らし”には「時給1500円」が必要? 都市でも田舎でも生活費が変わらない理由写真はイメージです Photo:PIXTA

 低い賃金で働く人たちが増えている。産業界は引き上げに慎重だが、今年のノーベル経済学賞受賞者は、最低賃金が上がっても雇用は減らないと証明した。普通の暮らしには1500円必要との試算もある――。AERA 2021年11月1日号で、日本の最低賃金について取り上げた。

 いま関心を呼んでいるのが、最低賃金を1500円に引き上げる運動だ。

 今月31日に投開票される衆院選では、共産党や社民党などが「最低賃金1500円」を公約の一つに掲げた。元々は15年、労働問題に取り組む若者のグループが「1500円」を掲げ、東京・新宿でデモを行ったのがきっかけだ。「路上」からの声は同年代の支持を集め、社会全体に広がった。

 なぜ1500円なのか。静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授(社会保障論)は、次のように説明する。