日本の最低賃金を1500円に引き上げたら起こる「三つの悪いこと」Photo:PIXTA

日本の最低賃金は
あまりにも低すぎる

 私は、日本の最低賃金は低いと思っています。2020年はコロナ禍を理由に最低賃金はほぼ据え置きでした。今年もコロナ禍が理由にされるのだと思いますが、それで国民の生活が成り立つのかという疑問が湧いています。

 厚生労働省が公開している最新の最低賃金の全国加重平均は、時給902円。傾向としては東京都の1013円が筆頭で、神奈川県の1012円がそれに次ぐのですが、それ以外の都道府県では首都圏、関西圏、愛知など大都市圏が900~950円程度、それ以外の道県では800円程度の水準です。

 この最低賃金が注目を集めるのは、実質的に多くの職場で非正規労働者の賃金が、この最低賃金に張り付いている例が多いからです。これをなんとかして引き上げてほしいと、全国に4000万人ほどいらっしゃる非正規労働者は思っているのですが、なにしろ立場が弱く、なかなか政治家にはその声が伝わらないようです。

 それでどれくらいの水準がいいのかというと、労働者の控えめな願望は全国一律1000円以上に早くのせていきたいというのがひとつの目安なのですが、全国労働組合総連合(全労連)がそれを上回る興味深い調査報告を発表しました。