先進国では不動産が値上がりするのは
当然のこと

 先進国は心地よいインフレを達成するべく、政策選択されている。米国でも英国でも資産インフレが続いている。ロンドンでの平均的住宅価格は10年ごとにその価格が倍くらいに値上がりする。持ち家率も高いために、老後資金は資産インフレで賄っていると考えてもあながち間違いではない。

 日本では自宅を子どもたちに残すことを考える人が多いが、家は一代で終わりにする考えに立ったほうがいい。平均寿命が90歳に近い現代で、相続で引き継がれる自宅は子どもの年代で60歳前後になる。子育ても終わったときに自宅をもらっても、必要なタイミングを逸している。

 それに子どもが2人以上いたら家は分けることなどできない。それなのに家の売却について遺言なども残さずに逝く人は絶えない。その結果、親の家は大量の空き家となって放置されることになる。子どもの側も自分にとっても思い出になる実家を処分する決断もつかず、多少の現金を相続でもらうので、親の自宅にかかる固定資産税を支払い続けてしまう。

 こんなことなら、親世代として自宅に住み続けるが、生きている間に現金化してしまい、亡くなった際には売却して換金することを想定したほうがいい。どうせ天国には自宅も現金も持っていけない。資産を残すにしても自宅の売却で現金化を想定するなら、最後は自宅資産でリバースモーゲージをして、老後資金を生み出すことを一つの選択肢として考えてみてはいかがだろうか。