「関美和」。この翻訳者を知る人はどれだけいるだろうか?
そうそうたるプロフィール力がありながら、どこか天然ボケで編集者を笑わせたと思いきや、極めてシャープな訳をあげてくる。ミリオンセラー『FACTFULNESS』だけでなく、発売早々ベストセラーとなっている『13歳からの億万長者入門──1万円を1億円にする「お金の教科書」』の訳者でもある。
★Amazon.com「1600以上の読者評価、星5つ中の4.6の高評価
★Amazon.com「Children's Moneyジャンルベスト10の常連
★ベストセラー『生涯投資家』村上世彰氏絶賛
この本は「稼ぐ力」「貯金力」「投資力」の3つの力が同時に身につく稀有な本だ。
原書タイトルは『HOW TO TURN $100 INTO $1,000,000:Earn!Save!Invest!(1万円を1億円にする方法:稼いで、貯金して、投資しよう!』(Workman Publishing)。ほとんどお目にかかったことのないタイトルだが、関氏曰く「釣りタイトルと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。大人も子どもも楽しみながら学べる、真っ当なお金の教科書です」という。
いよいよ来年4月から高校でも「資産形成」の授業が始まる。圧倒的多くの個人金融資産を現金で持つ日本人。一方、その多くを株式等有価証券で保有するアメリカ人。幼少期からの金融教育の差が、決定的な国力の差になっているかは不明だが、今年7月、「日経新聞」に掲載された「世界のユニコーン、5割増」の見出しの中で両国の差は衝撃的だ。
「世界のユニコーン729社中アメリカは374社で世界ダントツ。一方、日本はたった6社」
一体全体、この違いは何なのか?
翻訳家・大学特任准教授・MPower Partners Fund L.P.ゼネラルパートナーが本業の関氏は、長らく外資系金融業界の最前線にいた。アメリカ人と日本人を熟知する関氏の眼に、日本人のお金の教養はどう見えるのだろうか(構成・山本奈緒子)。

ベストセラー翻訳家・関美和が語る!<br />日本人とアメリカ人の<br />“お金の教養”<br />決定的な「差」Photo: Adobe Stock

日本とアメリカの“お金の教養”の違い

ベストセラー翻訳家・関美和が語る!<br />日本人とアメリカ人の<br />“お金の教養”<br />決定的な「差」関美和(せき・みわ)
翻訳家。MPower Partners Fund L.P.ゼネラル・パートナー。
杏林大学外国語学部特任准教授。
慶應義塾大学文学部・法学部卒業。電通、スミス・バーニー勤務後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を歴任。また、アジア女子大学(バングラデシュ)支援財団の理事も務めている。おもな訳書に『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社)、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)――10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(日経BP)、『ゼロ・トゥ・ワン――君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)、『お父さんが教える 13歳からの金融入門』(日本経済新聞出版)など多数。

 9月29日に刊行した『13歳からの億万長者入門──1万円を1憶円にする「お金の教科書」』は、Amazon.com「Children‘s Moneyジャンルベスト10の常連」だけでなく、「1600の読者評価、星5つ中の4.6の高評価」と全米ロングセラーになっています。

 おかげさまで日本でも、発売たちまち大重版。大きな反響を呼んでいます。

 この本は、大人が読んでも有益な情報がたくさん詰まっています。

 実際、書店のビジネス書コーナーに平積みされているようです。

 ただ、この本はもともとアメリカの子どもたち向けに書かれたものです。

 土台となったのは、全米で最も有名な賞の一つ「エミー賞」を受賞した人気テレビ番組『Biz Kid$』。『Biz Kid$』は子ども向け経済番組で、2008年から放送がスタート。するとアメリカだけでなく全世界で1500万人以上が視聴。全米16州では金融教育番組として推奨されるようになりました。

 このような現象は、おそらく日本では考えられないでしょう。

 それくらいアメリカの子どもたちは、幼少期からお金のことを当たり前に学んでいるのです。

 しかし日本では、幼少期から学ぶどころか、子どもの前でお金の話すらはばかれる雰囲気すらありますよね。

 では、この幼少期のお金に対する姿勢の違いが、その後、どんな違いとなって両国に表れてくるのでしょうか?

 今回は、そんな日本とアメリカの“お金の教養”の違いについてお話したいと思います。

3つの力――「稼ぐ力」「貯金力」「投資力」すべて必要!

 アメリカといえば、アマゾンやフェイスブックなど桁違いに稼ぐ起業家を生む国、というイメージが強い人も多いでしょう。

 実際、世界のユニコーン(企業価値が時価総額10憶ドル〈約1100億円〉以上の有力スタートアップ企業)729社のうち374社がアメリカでダントツです。

 それだけにアメリカのお金の教養といえば、稼ぐこと一点に焦点が当てられている印象があるかもしれません。

 でも実際は、お金を増やすには3つの力――「稼ぐ力」「貯金力」「投資力」がすべて必要です。

 そして億万長者ほど、この3つの力を非常に大切にしているのです。

 3つの力をそれぞれ見ていきましょう。