高い浸透率を誇るインドのアドハー

 下表からわかるとおり、日本のマイナンバーと比較するとアドハーは浸透率において大きな成功を収めているといえます。

 しかしインドにおいても、アドハーが発行されるまでは信頼性の高い国民IDがなかったことにより、低い銀行口座普及率や生活保護の不正受給など、様々な問題が発生していました。

 それまではパスポート、運転免許証、納税に利用するPANカード(Permanent Account Number)、生活保護を受けるための配給カードなど、多数のIDが存在していました。これらは、その一つ一つを国民全員が必要とするわけではなかったことから普及率が低く、また紙やプラスチック製だったことにより偽造IDがはびこっていました。

 そこで、アドハー普及に向けては、それまで散見された各種IDをアドハーに統一、また、リテラシーが低いインドにおいて国民を教育するのではなく、指紋や虹彩といった生体情報を取得・活用することで不正利用を解消し、結果アドハーは信頼性の高いIDとして唯一無二の存在になりました。