安定した老後を過ごすために
夫は何歳まで働くべき?

 先ほど試算した通り、夫が60歳までに準備できる金融資産額は4052万円でした。一方、第4子を授かった場合の教育費が3600万円です。4052万円から3600万円を差し引いた452万円が60歳時点での金融資産額です。退職金が300万円ほどと書かれているので合算すると、752万円になります。

 実際にはLさんが50歳になるときに三女までは社会人になっているため、50歳以降の生活費は現在より減少していると考えられます。また、現在の試算では毎月の教育費や習い事の費用は60歳まで続く設定にしていることから、60歳時点の金融資産額は数百万円程度上乗せされると思われます。上乗せ分を考慮して、60歳時点の金融資産額を1000万円としましょう。

 ここで、相談文にあった車の買い替えについて検討します。夫が60歳のときに最低でも500万円は金融資産を残しておくべきです。すると、車の買い替え費用の上限は500万円になりますね。36歳という夫の年齢から考えると、買い替えは3回を想定しておくと安心です。つまり、買い替え1回あたりの予算は170万円弱です。

 買い替えの時期は、今すぐだと金融資産額が心もとないことから、もう1度車検を通して2年後にすると良いでしょう。以降は7~9年目に買い替えを行う形で試算しました。

 60歳時点で金融資産額500万円というのはかなり少ないですが、Lさんの場合、夫が60歳以降も働く予定です。手取収入は月40万円になる一方、第4子を2年以内に授かれば60歳時点で全員の教育費の支払いが終了していることになります。

 現在、Lさん一家の支出は45万2500円です。そのうち、学資保険や小遣いを含めて教育費や習い事の費用は月9万9500円がかかっていますが、60歳以降はこれらの負担は無くなります。子どもが独立し、食費や生活用品費なども大幅に減少することでしょう。学費や食費・生活費が14万6500円減額したと仮定して、毎月の支出を30万円としましょう。住宅ローンが何歳で完済になるのか記載がないので、試算では65歳まで続くとします。

 すると、家計の収支は収入40万円、支出30万円となり毎月10万円、年間120万円の貯金ができる計算になります。65歳までの5年間で600万円の準備ができるので、60歳時点で保有する金融資産額500万円と合わせると1100万円になります。

 Lさんの夫が65歳で退職した場合、1100万円の金融資産額では心もとないといえますが、相談文には元気な限り現在の職場で働けますと書かれています。70歳まで夫が働き、収支が変わらなければ、金融資産額はさらに600万円上乗せになります。

 また、65歳時点で住宅ローンを完済したと仮定すれば、ローン分の月8万円を貯蓄に上乗せできます。60〜65歳までの5年間で、8万円×12カ月×5年間=480万円が上乗せできる計算です。

 先ほど試算した通り、65歳時点の金融資産額は1100万円でした。そのため、Lさんが働く期間を70歳まで延ばした場合、金融資産額は1100万円+600万円+480万円=2180万円です。公的年金の受給を70歳まで繰り下げれば、2180万円の金融資産額で相応の老後を過ごすことが可能と思われます。