月2億円の利益を出すための司令塔

 よく社員に話すことだが、なぜ社長はタクシーで移動するのか。

 社長は偉いからタクシーで移動するわけではない。

 当社は1ヵ月で約2億円の利益を出している。

 社長は月2億円の利益を出すための司令塔の役割をしている。

 つまり営業時間の10分間に換算すると約20万円の利益を出すので、その10分間を有効に活用するには、電車よりタクシーのほうがいい。

 タクシーに乗って時間を有効活用したほうが利益は出る。

 一方で、飛行機の場合は、ファーストクラスでもエコノミーでも時間は変わらないのでエコノミーに乗る。

 時間とお金の話は、ことあるごとに社員にする。

 たとえば、私との約束に10分遅刻した社員には、

「今あなたは会社の利益20万円を無駄に使いましたよ」

 と言う。

 制作物のチェックを依頼され、ケアレスミスなどの文字訂正などに10分程度の時間を使ってしまったら、

「今20万円のコストを使って文字を修正したことになるんですよ」

 と言う。

 普段から人件費や機会損失を金額に置き換えて話しているのだ。

「ピッパの法則」は誰でも今すぐできる

 当社のクレドの中に「ピッと思ったらパッとやる」がある。

 この「ピッパの法則」に気づいたのは、リクルートに勤めているときだ。

 営業で何人もの中小企業の社長と話をして、生意気ながら「そんなにすごい人はいないなあ」と思っていた。対等に話ができていると思っていた。

 だが、「ちょっと待てよ」と思った。

「この社長たちはみんな成功しているのに、自分は一介のサラリーマンにすぎない。この差は何か」

 あるとき気づいた。

 社長に「こんなことをやったら面白いですよね」と話すと、次に会ったときはすでに実行しているのだ。

 そして、「これはよかったけど、これはダメだった」と言う。

 自分は口先ばかりで実践していない。

 社長はこんなに忙しいのにすぐ実践している。

 私はなぜできるのかと尋ねてみた。

「ピッと思ったらパッとやるからだ。君と話をしていて、こんなことをやったら面白いと感じる。君が帰った瞬間にやる。ピッと思ったらパッとやる癖をつけていくとキャパシティが増える」

 それからは、ピッと思ったらパッとやる癖をつけた。

 すると、仕事のキャパシティは4、5倍になった。

ピッパの法則」は社内研修でも行う。

 やるべきことが起きたとき、「できることは今すぐやる」「すぐできないことは、いつやるかを今すぐ決める」を習慣にする。

 この習慣をつけると、誰でも仕事をこなす量が3、4倍になる。

 当社が高収益になった秘密はこれですべてお話しした。

 出し惜しみは一切ない

 あとは、あなたが「ピッパの法則」で実践に移すだけである。

(本原稿は、『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』から抜粋・編集したものです)