なぜ今「成長と分配の好循環」か
家計への波及乏しかったアベノミクス
「成長と分配の好循環」を巡る議論が盛んだ。
だがこのフレーズは新しいものではなく、アベノミクスの後半で既に使われていた。
アベノミクスは当初、円安と株高をもたらし、それまでの閉塞感を打破することには一役買った。しかし、企業から家計へのトリクルダウンは乏しかった。アベノミクスは格差を広げるだけではないか、との批判も強まった。
うまくいかなかった大きな原因は賃金が上がらなかったからだ。岸田文雄政権が改めて「好循環」の実現に取り組むなら、この教訓を生かす必要がある。
実際、賃金引き上げで政府がやれることも少なくはない。