「賃金引き上げ」は政府の力でけん引できる、アベノミクスの教訓生かせPhoto:PIXTA

なぜ今「成長と分配の好循環」か
家計への波及乏しかったアベノミクス

「成長と分配の好循環」を巡る議論が盛んだ。

 だがこのフレーズは新しいものではなく、アベノミクスの後半で既に使われていた。

 アベノミクスは当初、円安と株高をもたらし、それまでの閉塞感を打破することには一役買った。しかし、企業から家計へのトリクルダウンは乏しかった。アベノミクスは格差を広げるだけではないか、との批判も強まった。

 うまくいかなかった大きな原因は賃金が上がらなかったからだ。岸田文雄政権が改めて「好循環」の実現に取り組むなら、この教訓を生かす必要がある。

 実際、賃金引き上げで政府がやれることも少なくはない。