人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。
しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2018年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』は出版後、すぐに重版が決まり、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せるなど、話題になっています。

「上の血圧」が130を超えたら、心不全・腎不全・脳卒中リスクが上がる!

「高血圧の基準がよくわからない」「どれくらい高いと問題なのか?」という声もよく聞きます。

 医学用語で上の血圧を「収縮期血圧」、下の血圧を「拡張期血圧」と呼びます。

 収縮期血圧は心臓から全身に血液を送る際の血圧、拡張期血圧は全身から心臓に血液が戻ってきたタイミングの血圧です。

 年齢とともに動脈は硬くなっていくので、心臓から全身に血液を送るときの「抵抗」が増えるため、上の血圧は高くなっていきます。

 また、動脈が硬くなると血管の弾力がなくなり、全身に送り出される血液が少なくなります。その結果、戻ってくる血液も少なくなるので、年をとると下の血圧は下がる傾向があります。

「下の血圧より上の血圧を下げたほうが心臓病のリスクを下げる効果が大きかった」というデータもあります(※1)

 基本的には上の血圧に注目しておけばいいでしょう。

「高血圧の基準」とは?

 さてアメリカでは、高血圧の基準が記事冒頭の図のように改定されました。

 AHA2017と呼ばれるアメリカの心臓協会で定められたものです。この基準を補足すると下記になります。

・120以上
血圧が高めなので、生活習慣の改善で120未満にしましょう

・130以上
「高血圧」です。運動と食事の改善で血圧を下げましょう

・140以上
お薬での治療が必要です