「元・日本一有名なニート」としてテレビやネットで話題となった、pha氏。
「一般的な生き方のレールから外れて、独自のやり方で生きてこれたのは、本を読むのが好きだったからだ」と語り、約100冊の独特な読書体験をまとめた著書『人生の土台となる読書』を上梓した。
本書では、「挫折した話こそ教科書になる」「本は自分と意見の違う人間がいる意味を教えてくれる」など、人生を支える「土台」になるような本の読み方を、30個の「本の効用」と共に紹介する。

人付き合いが苦手な人のための「本の効用」ベスト4Photo: Adobe Stock

「知識を得ること」の意味

 本というのは、人生のシミュレーションツールみたいなものだ。

 本を読むと、行ったことのない国のことや、普段関わることのない人の人生や、やったことのないような大失敗を、まるで自分の体験のように感じることができる。

 人は本を読むことで、「自分がこういう状況になったらどうするか」ということを頭の中でシミュレーションする。

 一度しかない人生を、本の中なら何千回も生きられる。

 そして、その内容を、自分の人生に取り入れて生かすことができる。

 本を読めば読むほど、人生の中での行動の選択肢が増える。

 つまり、人生の自由度が上がっていく。

人は「今まで読んだ本」でできている

 僕は、本を読むことで「自分の人生を作ってきた」という自覚がある。

 引っ込み思案で人と話すのが苦手だった僕は、ほとんどの情報を本から得てきた。本は他人と違って、しゃべらないから怖くなかったのだ。

 僕のほとんどは、今まで読んだ本でできていると言っても過言ではない。

 僕の今までの人生の節目には、いつも読書の影響があった。

 この本では、僕が今までに読んで影響を受けてきた本を参考にしながら、ゆっくりと深く効いてくる読書の効用について4つ紹介しようと思う。

①人生の「ロールモデル」が見つかる

 本を読んでいると、「この人みたいに生きてみたい」と憧れることがある。僕はそんな人たちの生き方を参考にすることで、今までなんとか生きてこれた。そんなロールモデルになるような読書。

②「世界を動かすルール」を教えてくれる

 物事を考えるときには、「この世界はこういう仕組みで動いている」という世界観を持つ必要がある。知ることで生きるのがラクになる、そんな新しい視点を本からインプットしよう。

③「日常の暮らし」をひっくり返してくれる

 仕事、家族、健康など、日常の中で当たり前だと思っていたことが、実は当たり前ではなかったと気づかせてくれるのも本だ。普段の暮らしをゼロから見直すことで、よりよい毎日を送れるようになる。

④「自分のこと」を誰よりも知ることができる

 わかっているようで見えにくいのが自分自身のことだ。本を読むことで初めて、自分についてわかることがある。本は自分を映し出す鏡だ。そんなふうに、自分自身を見直すきっかけになるような本を読もう。

 以上の4つだ。

 たくさんの本を楽しく読むことで、自信を持って、自分らしく、自由に生きるやり方を探していこう。この本がその助けになればいいなと思う。

pha(ファ)
1978年生まれ。大阪府出身。
現在、東京都内に在住。京都大学総合人間学部を24歳で卒業し、25歳で就職。できるだけ働きたくなくて社内ニートになるものの、28歳のときにツイッターとプログラミングに出合った衝撃で会社を辞めて上京。以来、毎日ふらふらと暮らしている。シェアハウス「ギークハウス」発起人。
著書に『人生の土台となる読書』(ダイヤモンド社)のほか、『しないことリスト』『知の整理術』(だいわ文庫)、『夜のこと』(扶桑社)などがある。