著名人や有名経営者から名指しで「あなたにインタビューをしてもらいたい」と声がかかるインタビュアーの宮本恵理子さん。これまでに取材した相手は延べ2万5000人以上。そんな彼女の「聞くスキル」を一冊にまとめた『行列のできるインタビュアーの聞く技術』が好評発売中です。本書の巻末には、実際に寄せられた「取材時の困った!」に宮本さんがどう対処してるのかをまとめました。本連載では、書籍の回答に大幅加筆し、取材の悩みに回答していきます。『行列のできるインタビュアーの聞く技術』と一緒に読み込めば、きっと話を聞くスキルがぐっと高まるはずです。

インタビュアーの命となる「声」は、こう守るPhoto: Adobe Stock

インタビュー時は低めの声で問う
声枯れを予防して聞きやすさにも配慮

質問:心地よいインタビューを目指すために、発声練習はしていますか?

回答:特にしていませんが、あまり甲高いトーンの声は落ち着きのない印象になるので、やや低めに発声しています。

 心がけているのは、声枯れの予防です。声が出にくくなったり、かすれたりしてしまっては、相手が聞きづらくなるのはもちろんのこと、インタビューそのものもやりづらくなってしまいます。

 喉の調子を崩さないように、消炎作用のある喉専用スプレー(私は風邪予防も兼ねてプロポリススプレーを一年中愛用しています)を取材の前後にシュッと吹きかけています。

 少しでも調子が悪いと感じたら、アナウンサーの知人に教えてもらった漢方薬「響声破笛丸」(いかにも効きそうな名前!)を服用するように。

 おおげさかもしれませんが、事実として、声が出ないとインタビューは成り立たなくなってしまうので、最低限のケアとして続けています。

 また、中高時代の演劇部で「鼻濁音」(「が」行の音を鼻のほうへ抜けて発声する方法)を練習したことは、「私が」と自分の話をする時の印象を多少和らげるのに役立っているのかもしれません。

 私は福岡出身なのですが、九州では鼻濁音をあまり使わない地域性があるそうで、「九州出身者は気づかぬうちに主張強めの印象を与えやすい」と聞いたことがあり、意識するようになりました。

『行列のできるインタビュアーの聞く技術』では、本記事で触れたような相手の話を聞くためのさまざまなスキル、相手の心をほぐして話をよりスムーズに聞くためのスキルを88、紹介しております。そしてこの聞く技術は、インタビューという特殊な環境ばかりではなく、営業や1on1、会議、面接、コーチング、採用、雑談などあらゆるシーンでも生かすことができます。ぜひ、本書を手に取ってみてください。

インタビュアーの命となる「声」は、こう守る