著名人や有名経営者から名指しで「あなたにインタビューをしてもらいたい」と声がかかるインタビュアーの宮本恵理子さん。これまでに取材した相手は延べ2万5000人以上。そんな彼女の「聞くスキル」を一冊にまとめた『行列のできるインタビュアーの聞く技術』が好評発売中です。本書の巻末には、実際に寄せられた「取材時の困った!」に宮本さんがどう対処してるのかをまとめました。本連載では、書籍の回答に大幅加筆し、取材の悩みに回答していきます。『行列のできるインタビュアーの聞く技術』と一緒に読み込めば、きっと話を聞くスキルがぐっと高まるはずです。

相手の話に聞き入るとつい真顔に。どんな表情で話を聞くべきか?Photo:AdobeStock

真剣になるほど、つい真顔になる
取材中はどんな表情で話を聞くべき?

質問:インタビューをする時の表情は意識していますか? 次の質問を真剣に考えるあまり、つい険しい表情になってしまいます。

回答:真剣に考えながら聞いていると、うっかり真顔に。あるあるですね。

 私が意識しているのは、目の表情です。「今、私はあなたの話を聞いていますよ」という気持ちを込めて、相手の目を見て、話を聞きます。

 口元も固くならないよう、大袈裟でない程度に口角を上げるように。

 女性誌の編集者時代に担当したコミュニケーションに関する特集の取材で、専門家から「心地よい会話には、口元に微笑みを浮かべるアルカイック・スマイルが最適」と教えてもらったことを時々、思い出しています。

 一方で、表情は「スマイル」にこだわりすぎなくてもいいとも考えています。

 話が複雑で理解が追いつかない時は、「?」と吹き出しが出そうなくらい宙を仰ぐ。解釈するためにちょっと考えたい時は「うーん」と腕組みをする。びっくりしたら、目を見開く。

 リアクションは意識的に大きくしつつ、聞き手が感じた通りに素直に表現するのが一番です。

 こうやって振り返ってみると、私が表情を通じて発している感情は「おもしろがる」という感情かもしれません。話を聞きながら得られた新鮮な発見や気づき、おもしろがるという気持ちを、顔の表情だけではなく全身で示すようにしています。

 話し手も聞き手の反応に合わせて、次の話し方を決めていくもの。その即興性の妙こそが、インタビューの醍醐味だと感じています。

『行列のできるインタビュアーの聞く技術』では、本記事で触れたような相手の話を聞くためのさまざまなスキル、相手の心をほぐして話をよりスムーズに聞くためのスキルを88、紹介しております。そしてこの聞く技術は、インタビューという特殊な環境ばかりではなく、営業や1on1、会議、面接、コーチング、採用、雑談などあらゆるシーンでも生かすことができます。ぜひ、本書を手に取ってみてください。

相手の話に聞き入るとつい真顔に。どんな表情で話を聞くべきか?