コロナがもたらした千載一遇のチャンス

 コロナの感染拡大は、私たちの生活を一変させました。このような大きな変化が起きる状況においては、変化があまりない安定した状況に比べると、その変化に適切に対応したものと、そうでないものとの間での差が開く可能性が高いといえます。ビジネスにおいてもその影響は顕著でしょう。

 もちろん、これは経営の巧拙の問題ではなく「天災」のようなものであるととらえることもできます。例えば航空業界、とりわけ国際線などは、どんなにいいアイデアやリーダーシップ、あるいは現場の実行力を駆使したとしても、突然需要が「ほぼゼロ」になった状況下でこれまで以上に利益を上げ続けるのは、ほとんど不可能に近いことといえるでしょう。

 ただ一方で、全てを「コロナのせい」にして売上の大幅減を正当化するのもまた考え物です。Eコマース(電子商取引)やWeb会議関連のビジネス等、コロナが「超追い風」となった事業も一方で存在しますし、外食産業のように単に食べる場所が店舗ではなく、家になったことで宅配サービスが急伸したというようなこともあります。

 そういう点では、新型コロナウイルスは世界中にニーズの種をバラまいているということもできます。まさに千載一遇のチャンスがやってきているのです。

 このような変革期には、いつまでも古いやり方にしがみついて「いつか嵐が通り過ぎ去るのを待つ」のか、それとも、新しい変化をチャンスととらえて迅速に新しい商品やサービスを開発するとともに、そのための新たな仕組みを構築するかによって大きな差がつくといってもいいでしょう。

 早々にデジタル化やテレワークといったニューノーマルに舵を切った企業は、その危機を乗り切ったばかりでなく、次のチャンスに向けて着々とさらなる布石を打ち始めているでしょう。

 このように、「皆が平等に伸びていく」平常時に比べると、変革期というのはチャンスをうまくつかんだ人と、そうでない人の差がつくというのが一つの特徴です。