攻めと守りの機能が必要

 海外駐在員が必要かどうかという質問ですが、会社には攻めと守りの機能が必要である点を忘れてはいけません。

 海外現地法人における攻めとは、現地企業とのリレーションを構築して新たな事業機会を創出したり、スタートアップに投資して新規事業を興したりするような活動を指します。

 一方守りとは、経理や人事といった管理業務やコンプライアンスなど、攻めの活動をサポートする業務を指します。

 このように、攻めの機能と守りの機能は、性質において大きく異なります。会社の不祥事が続いたりすると、会社全体が保守的になり、新しいこと、人と違ったことをしようとする人が悪目立ちし、まさに出る杭はうたれる状態に陥りやすくなります。

 経営陣および社員の思考はどんどん内向きとなり、何も新たなことが生み出せなくなります。視線が社内に向けられている企業の老化が一気に加速することは、前々回の連載で解説した通りです。