楽天エクスプレス

楽天グループが多額の予算を投じて構築してきた自前の配送網「楽天エクスプレス」事業を5月末で唐突に打ち切る決定を下した。同事業を巡っては、下請けの軽貨物運送業者との間でトラブルが起きていることや、楽天の元執行役員によるキックバックの疑惑もささやかれている。今回筆者はこれまで口を閉ざしてきた同事業元幹部の貴重な証言を得ることができた。関係者らへの取材により、事業打ち切りの裏側で一体何が起きていたのかを明らかにする。(東京経済東京支社長 井出豪彦)

内部告発をきっかけに
幹部の不正疑惑を調査

 楽天グループが多額の予算を投じて構築してきた自前の配送網「楽天エクスプレス」事業を5月末で唐突に打ち切る決定を下した。その裏側で一体何が起きていたのか。

 下請けの軽貨物運送業者との間でトラブルが起きていることや、三木谷浩史社長から同事業に関して大きな裁量を与えられてきたヤマト運輸出身の元執行役員A氏によるキックバックの疑惑についてはダイヤモンド・オンラインの記事https://diamond.jp/articles/-/287176)を含むさまざまなメディアですでに報じられているが、今回筆者はこれまで口を閉ざしてきた同事業元幹部の貴重な証言を得ることができた。

 三木谷氏がこだわってきたはずの「ラストワンマイル」の自前配送網に見切りをつけ、日本郵政グループとの提携にかじを切ったのはなぜか。改めてひもといてみたい。

 関係者によれば、楽天がA氏らによる不正疑惑の調査に乗り出したのは昨年12月頃のことだった。