新型コロナの影響で、正月を自宅で過ごす「巣ごもり需要」が高まり、おせちの販売は増えると想定していたが、それをはるかに超える注文が入った。
高島屋食品部のバイヤー、山下聡次長も昨年のおせち商戦をこう振り返る。
「12月14日にGoToトラベルキャンペーンの一時停止が発表された直後の売り上げの伸びが顕著でした。『今年は旅行に行けない、帰省も難しい』と考えたお客さまが一気におせちに流れ込んだと思われます」
同社は約1150種類ものおせち商品をそろえたが、「お客さまが殺到して、最終的に2アイテムを残して、全部、売り切れてしまったんです。それくらい、正月をご自宅で過ごされる傾向が顕著に表れた」(山下さん)
高島屋のおせちの売り上げも前年比約120%と、大きく伸びた。
現実離れした価格ではない
おせち商品全体の売り上げも好調だったことに加えて、「高額のおせちの反応が非常によかった」と、前川さんは言う。
それを受けて松屋は今年、新規商品として40万円のおせち「銀座ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」を用意した。
「ブルガリさんに期待したのはラグジュアリー感ですね。前菜からデザートまで、イタリアンレストランのフルコースが詰まった感じを出しながら、おせちに仕立てました。もちろん、材料や調理にはものすごくこだわっています。50年熟成のバルサミコ、希少なオシェトラ種のチョウザメのキャビア、黒トリュフを添えたとびっきり大きなホタテガイの貝柱など、とても貴重な食材を組み合わせています」(前川さん)
しかし、これほど高額なおせちに需要はあるのだろうか。