IT企業経営者が明かした、中途採用で最も重視するもの

 エンジニアの彼とは異なる視点から面接を見ると、「気づかなかった可能性」について考えられるでしょう。それは、こんな話です。現在ではコンプラに抵触する可能性もある話なので、具体的な企業名は匿名で記事を書かせてください。

 私がずいぶん前にお世話になったIT企業のオーナー経営者が教えてくれた話です。

 彼の会社はグローバルに急成長した日本企業で、おそらく当時は日本で幹部クラスの中途採用人数が最も多い企業の一つだったと思います。さらに優秀な人材をヘッドハントして成功していると、外部から高く評価されていました。

 その社長があるとき、採用の秘密について教えてくれました。

 彼が有名企業からの転職希望者を採用するかしないかの最終判断をする際に、最も重視するのは、地頭の良さや業界知識など、いわゆるビジネスパーソンとしての優秀さではなく「打たれ強さ」だと話してくれました。

 確かに、外部から見ても、その会社で戦力となるためには一般企業よりもストレス耐性が必要な環境であることは間違いなかったと思います。市場環境的には超がつく成長市場ではあるのですが、競争は厳しく、業績目標も高い。さらに事業セグメントによっては行政とのかかわりが強いのですが、そこではかなり理不尽な横やりが入ってくることもあります。しかもオーナー社長自身の個性が強く、控えめに表現してもパワハラ気味な方でした。

 そのオーナー社長がおっしゃるには、彼に手厳しく言い込められたぐらいで萎縮する人材だと社内的にも対外的にも勝ち残っていけないというのです。

 こんな背景があったことから当時、この会社の採用面接では圧迫面接を行っていました。