シンプルで効果抜群の対策とは?

 それは「一方が売りたいと考えたときに、もう一方が、持分を買いとれるだけの資金を持っていれば、争いはそれ以上発展しない」ということです。

 先ほどの例で言えば、二男の持分を買いとれるだけの資金を長男が持っていれば、トラブルが深刻な状態になることもなかったと言えます。

 ちなみに、不動産の権利は共有者の同意がなくても、第三者に売却することが可能です。つまり、二男が、長男に何も言わなくても勝手に売却することができるのです。

 ただ、「不動産の共有持分だけを欲しがる人なんているの?」と思いますよね? 実は、いるんです。

「共有持分、買い取ります」という電車の中づり広告を見たことがある方も多いのではないでしょうか。大手の不動産会社でも、共有持分の買い取りを積極的に行っています。

 この不動産会社は、共有状態で悩まれている方の共有持分を、割安な金額で買い上げ、その後、残った共有者(先ほどの例でいえば長男)に対して、適正な金額で持分を買い取るか、不動産を共同で第三者に売却するか選ぶように、弁護士を連れて話をしに行きます。

 長男が要求を拒めば、その不動産会社は先ほどの二男と同じように、共有物分割訴訟を始めます。こうなると長男と二男の関係は修復不能なまで悪化するかもしれませんね。