自然の風景を保護するとともに、その利用の推進を目的として管理されている「自然公園」。実は、必ずしも自然が豊かな地域に多いというわけではない。各都道府県に占める自然公園の面積比率を見ると、意外な結果が浮かび上がる。
※本稿は、浅井建爾著『教養としての日本地理』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
「自然公園の面積比率」は
北海道より東京の方が高い!?
自然公園は47都道府県すべてに分布している。必ずしも自然が豊かな地域に自然公園が多いわけではない。自然公園は日本の総面積の約15%を占めているが、最も自然が豊かな北海道は10%と低く、岩手県はわずか5%に過ぎない。広島県はそれよりも低い4%だ。
島根県は6%、山口、愛媛、高知の3県は7%というように、比較的自然に恵まれていると思われる県で、自然公園の面積比率が低い。
それに対し、最も自然は少ないだろうと思われがちな東京都は、自然公園の面積比率が36%という全国有数の高さである。
東京に隣接している埼玉県も33%と高く、神奈川県も23%で全国平均を大きく上回っている。