プライベートな話題で質問攻め、セクハラ発言を繰り返す

 それからB子は、かつてのA課長と同じく週2回のペースで乙社を訪問するようになった。C部長はB子が来ると笑顔で待ち構え、仕事の話を終えて退出しようとすると決まってプライベートな話題で質問攻めにした。

「先週末の休みは何してた?」
「彼氏はいるの?」
「どんな男性が好み?」

 B子が答えに詰まると、

「B子ちゃんって、本当にかわいいね!」

 と笑い転げた。忙しいB子は早く次の仕事先に行きたかったが、C部長の機嫌を損ねるとまずいので仕方なく付き合い続けた。

 10月に入り、B子はだんだん乙社に行くのが憂鬱(ゆううつ)になった。C部長はさらに大胆になり、B子の顔や体をなめ回すような目付きで見ては、

「今日の口紅の色は濃くないか? 俺はもっと薄いのが好きだ」
「この頃体がむくんできたね。もしかして太った?」

 などとセクハラ発言を繰り返した。

 身体に触られることこそなかったが、C部長の言葉に悩んだB子は、A課長に対処方法を相談したが、

「君はC部長のお気に入りなのだからあまり気にするな。営業成績も順調だし、この調子でガンバレ!」

 と軽く流された。B子は、営業の成果ばかりを気にかけ、部下の悩みに向き合わないA課長に幻滅した。