楽天・三木谷会長「巨額投資」の野望、ヴィッセル神戸の年俸総額は60億超!ヴィッセル神戸の三木谷会長(写真左)とイニエスタ選手(写真右) Photo:Masashi Hara/gettyimages

今シーズンの戦いを全て終えた明治安田生命J1リーグで、ヴィッセル神戸が従来の7位を上回る、クラブ史上で最高となる3位へ躍進して来シーズンのACL出場権を獲得した。2017年シーズンから大型補強路線に舵を切り、翌シーズンには稀代の司令塔アンドレス・イニエスタを名門バルセロナから獲得。世界を驚かせてもなお未来への投資となる補強を惜しまない楽天グループのトップ、三木谷浩史会長が残してきた言葉から、他のJクラブとは一線を画す神戸の野望を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

ヴィッセル神戸の人件費は
Jリーグトップに

 Jリーグから毎年開示される各クラブの経営情報を見ると、ヴィッセル神戸のチーム人件費、つまり年俸総額が2017年度から新たなフェーズに入ったことが分かる。

 開示された31億400万円は、浦和レッズの26億4400万円を抜いてクラブ史上で初めてトップに浮上。前年度の経営情報では2位の神戸が20億6800万円、トップの浦和が23億8100万円だったから、神戸の数字の伸び率がいかに大きいかが分かる。

 その後も18年度が44億7700万円、19年度が69億2300万円、20年度はコロナ禍で減少に転じたものの、それでも63億9600万円でトップをキープ。2位の名古屋グランパスの35億2500万円を大きく引き離している。

 J1クラブの平均値を大きく上回っているチーム人件費の推移を、神戸の会長を務める楽天グループの三木谷浩史会長兼社長はこんな言葉とともに振り返る。

「2017年にまずルーカス・ポドルスキ選手が加入し、2018年にアンドレス・イニエスタ選手、2019年にはダビド・ビジャ選手、セルジ・サンペール選手、そしてトーマス・フェルマーレン選手と世界レベルの選手たちを補強してきました」

 日本代表の大迫勇也、武藤嘉紀、元スペイン代表のボージャン・クルキッチのFWトリオを新たに迎え入れた、8月下旬の入団会見の席で発した言葉だ。