10人に1人といわれる左利き。「頭がよさそう」「器用」「絵が上手」……。左利きには、なぜかいろんなイメージがつきまといます。なぜそう言われるのか、実際はどうなのか、これまで明確な答えはありませんでした。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社刊)では、数多くの脳を診断した世界で最初の脳内科医で、自身も左利きの加藤俊徳氏が、脳科学の視点からその才能のすべてを解き明かします。左利きにとっては、これまで知らなかった自分を知る1冊に、右利きにとっては身近な左利きのトリセツに。本記事では本書より一部を特別に公開します。

左利きの「すごい直感」を磨くコツPhoto: Adobe Stock

左利きは直感を「言語化」しよう

 左利きの多くは、情報の「イメージ保存」がデフォルトです。そのため、浮かんだことを言葉でうまく表現できない場合も少なくありません。

 でも、そこであきらめずに言葉にする努力をしてみましょう。なぜなら、浮かんだことを意識的に「右脳→左脳」に移して、あえて言語化することで、直感をカタチとして残すことができるからです。

 そうでないと、せっかくの巨大なデータベースである右脳でひらめいた直感が、そのまま同じように浮かんでいる他のイメージに埋もれてしまいます。(関連記事:「左利きは直感がすごい」脳内科医が断言する新事実

 左利きの場合、多くの人はこうして言語化することで左脳だけでなく、右脳も働かせています。すると、さらに別のイメージが湧きやすくなり、どんどん直感が浮かびやすくなるのです。

メモを持ち歩く

 直感でひらめいたことを言葉に換えたら、消えてしまわないうちに、その場ですぐにメモしておきましょう。

 私は、散歩に出かけるときも、夜眠るときのベッドの脇にも常にメモ帳を用意しています。スマホのメモ帳に書きとめるのでもいいでしょう。きれいな字でていねいに書こうとしなくて構いません。殴り書きでもいいので、たとえば、次のようにとにかく思い浮かんだことを言葉にして書きとめてください。

「東北の山が気になる」
「絵を描くための本」
「お母さんに電話をする」

 もっと短く「かぼちゃ」「花束」「白い靴下」などでもかまいません。読み返すと「どうして、こんなことを書いたのだろう?」と思うこともあるでしょう。でも、そんなときはほんの30秒でいいので「なぜ、これが浮かんだのだろう?」「“かぼちゃ”に、どんな意味があるんだろう」と自分に問いかけてみてください。

 すぐに答えが出ることもあれば、数日、数ヵ月してから「あ、このことだったんだ」と気づくこともあるはずです。

(本原稿は『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』から抜粋、編集したものです。本書では、脳科学的にみた左利きのすごい才能を多数ご紹介しています)

[著者]加藤俊徳(かとう・としのり)
左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。
14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700ヵ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD(注意欠陥多動性障害)、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後は、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、子どもから超高齢者まで1万人以上を診断、治療を行う。「脳番地」「脳習慣」「脳貯金」など多数の造語を生み出す。InterFM 897「脳活性ラジオ Dr.加藤 脳の学校」のパーソナリティーを務め、著書には、『脳の強化書』(あさ出版)、『部屋も頭もスッキリする!片づけ脳』(自由国民社)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞出版)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『大人の発達障害』(白秋社)など多数。
・加藤プラチナクリニック公式サイト https://www.nobanchi.com
・脳の学校公式サイト https://www.nonogakko.com