望月さんと入江さん「間違えること」の大切さについて、「まとめノート」を手に取りながら考える

これまで3回にわたって掲載してきた対談(前回はこちら)。間違えることで考えることの大切や「反復」だけでは応用問題に対処できないことに触れてきた。今回は算数を学ぶ上で決定的に重要となる「まとめノート」について見ていく。(ダイヤモンド社教育情報、森上教育研究所)

決定的に重要な「まとめノート」

森上展安[聞き手]森上展安・森上教育研究所代表

――望月さんは以前、教え子のノートをまとめて一冊の本を出されました。

望月 『中学受験 超難関校合格! 頭のいい子にも勝てる 算数まとめノート』(ダイヤモンド社)です。ここに生徒が残した実際のノートがありますので、なぜ私が「算数まとめノート」を重視しているのか、お話ししたいと思います。

入江 これが「まとめノート」ですか。図を多用したり、カラフルに書いてみたりと、それぞれの生徒なりに工夫して作っている様子が見て取れますね。

平行四辺形の性質をカラフルな枠で囲んで印象付ける平行四辺形の性質をカラフルな枠で囲んで印象付ける

望月 プロサッカー選手だった中村俊輔には、『夢をかなえるサッカーノート』(文藝春秋)という著作があります。スキルは「体で覚えるもの、練習によって身に付く」という周囲の(いわば愚かな)常識ではなく、練習後に思い立ったらすぐ自分にとって大切なスキルをノートに図と言葉で書き残すということを、サッカー選手がしているわけです。自分にとっての大事なスキルを、頭の中にたたき込むために「まとめノート」を作っているのです。

望月俊昭(もちづき・としあき)望月俊昭(もちづき・としあき)
望月算数数学教室主宰。1948年北海道生まれ。二十数年にわたり大手塾で中高受験生のための算数・数学を指導したのち、難関中学受験のための少人数制の算数教室を主宰、入学後の中学数学の指導も行っている。著書に、『中学受験 超難関校合格! 頭のいい子にも勝てる 算数まとめノート』(ダイヤモンド社)、『算数プラスワン問題集』『高校入試ハンドブック』シリーズ(いずれも東京出版)など。1987年から月刊誌『高校への数学』(東京出版)に、98年からは『中学への算数』(同)で連載を執筆している。

 そんなこと必要ないと思っている、というより、ノートに書き残すという発想を思いもつかなかった、もしくは指導者からその必要性を教えられることがなかった選手は、不幸としか言いようがないですね。常識的には身体で覚える競技でもノートに書くという発想を重視する選手がいるとき、先生の板書、問題集・参考書の解説などから学び取りそれを再現したい、という取り組みを続ける受験生が、中村俊輔の「サッカーノート」に類する「まとめノート」の必要性を認識する機会がないというのは、何といえばよいのか、とてももったいないことだと思います。