米電気自動車企業テスラのCEOであるイーロン・マスクが、今年の11月からテスラ株を次々と手放すニュースが世界中で話題になった。11月24日まででその売却総額は約100億ドル。日本円にして約1兆1300億円に上る。そんなとんでもないことができる背景には、テスラのCEO報酬制度があった。イーロン・マスクについての著書を数多く執筆する経営コンサルタントの竹内一正氏がくわしく解説する。
ツイッター世論調査で「イエス」
結果、テスラ株を1兆円以上手放した
テスラは2020年に株価を8倍まで急上昇させたが、今年に入ってその勢いは一旦衰えた。
だが、5月からテスラ株は再び上昇に転じ、10月に入ると上げは加速。10月25日に時価総額が1兆ドルを超えた。米国で1兆ドル越えの企業はアップル、マイクロソフト、グーグルの親会社アルファベットとアマゾンの4社で、テスラは5番目の企業となった。
テスラの株価と連動するようにイーロンの個人資産も大きく動いた。
まず、2021年1月にアマゾン創業者のジェフベゾスを抜いて世界長者番付の一位に躍り出た。しかし、長くは続かず二位に陥落した。だが、テスラ株の上昇で再びイーロンは世界一位になり、現在の推定資産額は30兆円を越える。
そして、テスラの株価が上昇していた最中の11月6日、イーロンはツイッターで、テスラ株の10%を売るべきかどうかを6250万人のフォロワーに尋ねるという“暴挙”をしでかした。
結果は、「イエス」が過半数を超えた。
そして、有言実行とばかりに、イーロンはテスラ株を次々と売却し、11月24日時点でその額は1兆円を越えたのだった。