世界中で日本ほど、牛蒡の食べ方を知っている国はないのではないでしょうか。

 そもそも、牛蒡を食用とする国は、日本と韓国と台湾だけだそうです。

 原産地である中国やヨーロッパでは牛蒡は薬であり、食材として認識されてはいません。

 古くは縄文~平安時代の間に漢方薬として伝わった牛蒡を、我が国が独自に食用として栽培を始め、江戸時代には全国で作られ、常食されるようになりました。

酢ごぼう
【材料】牛蒡…1本/砂糖…大さじ2/みりん…大さじ2/醤油…大さじ2/酢…大さじ2/白胡麻…適量
【作り方】 ①牛蒡はこすり洗いで泥を落とし、6cmの長さで縦に2~4等分に切る。②沸騰した湯に酢(分量外)を入れ、1を2分茹でたらザルにあけて水気を切る。③鍋に、砂糖、みりん、醤油、酢を入れて温め、砂糖が溶けたら2を入れて、たれをからめながら煮詰める。汁気がなくなったら白胡麻をからめる。
※冷蔵庫で2、3日持ちます。

 日本人はよほど牛蒡の味や香りが気に入ったのか、このような例は、他の野菜には見当たりません。

 寛永20年(1643年)に刊行された、我が国初の実用レシピ集である『料理物語』には、牛蒡の調理法として、「汁。あへもの。に物。もち。かうの物。茶ぐはし。其外いろゝ。」とあります。

 汁物、和え物、煮物、香の物は現在も一般的な調理法ですが、餅や茶菓子としても食べられていたとは驚きです。