文大統領は政権の残り5カ月の最大の課題として、北朝鮮との「終戦宣言」を挙げている。しかし、それは自分の政権のレガシーを残したいからであり、あわよくば、それによって金大中元大統領に次ぐ韓国人2人目のノーベル平和賞受賞者となりたいからである。それは韓国の国益ではなく、文大統領の利益である。

 韓国にとって、現在の最大の国益は、出生率を高めて人口減を食い止めることである。そのためには国民の生活水準を引き上げること、人々が結婚して子供を持とうという意欲をよみがえらせること、生活水準を引き上げて子供を持てる社会に再生することである。

 しかし、文政権は国内的に政治闘争を繰り返し、北朝鮮との間で無駄な労力を費やしており、その結果、韓国が再生する最後の機会を失いつつある。

経済政策の失敗により
出生率が急速に低下

 文政権になってから韓国の合計特殊出生率は減少幅を拡大している。

 2020年の合計特殊出生率0.84という数字は少子化が問題となっている日本の1.34(2020年)と比べても格段と低い。特に不動産価格の高いソウルは0.64%である。

 少子化のペースは文政権になってから加速している。2018年に初めて0.98と1を下回ってからさらに減少を続けている。新型コロナによって結婚する人の数は10%減ったといわれており、この状況が続くとすれば、来年以降の合計特殊出生率は0.69、0.62、0.57と年々減少し、2025年は0.52になるとの予測もある。わずか8年で半減するという異常さであり、その発端を作ったのが文政権である。

 合計特殊出生率が極端に低下した最大の理由は、文政権の経済政策の失敗によって若年層にしわ寄せが及んでいることにある。