日本が誇る「白物家電」も、気づけば買収されていく有様

 かつて世界一と言われた、「白物家電」もほぼ同じパターンだ。

 2000年代前半、ハイアールなど中国の白物家電メーカーが海外進出を始めた時、日本の家電業界では、「日本が負けるわけがない」という“日本不敗論”が大多数を占めいていた。

 一部の消費者は「中国製?まともに動くわけないじゃん?」と冷笑し、ジャーナリストたちも「日本メーカーのパクリ」などと完全に雑魚扱いしていた。

 ところが、売り上げなどのデータで中国メーカーが成長していることが明確になったことで、一部からは「そろそろやばいんじゃない?」という不安の声が上がった。しかし、それでも日本の「不敗神話」が揺らぐことはなかった。

 当時はまだ中国や韓国のブランドであっても、それらの家電の基幹部品は日本メーカーのものを使っていることも多かった、という実情もあって油断していたのだろう。肝心の技術の部分はこちらが握っているので、いくら「器」が売れたところで、「メイド・イン・ジャパン」の優位性が脅かされることはない、と高をくくっていたのである。

 そして、評論家が「日本は技術力はすごいものがありますが、いかんせん売り方が下手なのです」なんて、のんきな解説をしている間に、海の向こうでは中国メーカーが完全に勝利して、ついに日本やアメリカのメーカーを買収できるようになってしまった。

 2012年には、パナソニックがハイアールに三洋電機の洗濯機・冷蔵庫事業を売却。2016年には、東芝が白物家電事業をマイディア(中国)に売却、ハイアールが米・ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収した。また2018年には、東芝がテレビなど映像事業をハイセンス(中国)に売却した。

 このような「負けパターン」は例を挙げればキリがない。鉄鋼、造船、映画、そして最近ではアニメなどもそうだが今、大慌てで国が支援をしている半導体などの場合、かなり早くから「日本の負け」が予見されていた。