ニューノーマルの時代にはこれまでの勝ちパターンは通用しない。変革期に必要な新しい思考回路が求められている。それがアーキテクト思考だ。アーキテクト思考とは「新しい世界をゼロベースで構想できる力」のこと。『具体⇔抽象トレーニング』著者の細谷功氏と、経営共創基盤(IGPI)共同経営者の坂田幸樹氏の2人が書き下ろした『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考 具体と抽象を行き来する問題発見・解決の新技法』が、9月29日にダイヤモンド社から発売された。混迷の時代を生きるために必要な新しいビジネスの思考力とは何か。それをどう磨き、どう身に付けたらいいのか。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けする。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。

いま、最も必要なアーキテクト人材、その資質を見極める5つの条件とは?Photo: Adobe Stock

アーキテクト人材の特質、必要となる行動様式とは

 アーキテクト思考の実践者たるアーキテクトとは「ゼロベースで抽象度の高い全体構造を構想する人」でした。それは仕事の川上において特に必要とされ、そこで発揮すべき力は抽象化思考力ということになります。

 ところが前回述べたように、仕事における川上の場面と川下の場面では往々にして必要となるスキルや価値観が異なり、多くの会社やビジネスの現場で支配的な、川下的な発想がアーキテクトの実践への阻害要因となって立ちはだかります。

 ここでは、多くのビジネス現場における常識とはある意味で正反対となる、アーキテクトの特質、あるいは必要となる行動様式について紹介しましょう。

 代表的な例をいくつかリストアップしてお話します。

 読者の皆さんはこれらのうちいくつに該当するでしょうか? あるいはこれらの項目を見て「確かにこれらは日常の常識とは正反対だが、抽象度の高いことを考える川上の場面では有効な行動様式だ」と認識することができるでしょうか。