ファッション界に衝撃をもたらした
「ボロルック」

　同じく一九八〇年代に、パリコレでファッションの世界に衝撃を与えたのが、川久保玲（れい）氏が率いるブランド、コム・デ・ギャルソンです。

　彼女のアプローチもまさに「逆転の発想」を体現しています。

　ギャルソンはよく「叛逆（はんぎゃく）的なスタイル」と言われるブランドですが、メインストリームに対して違う価値観を打ち出すスタイルが、これまで一貫しています。

　特に話題となったのが、一九八二年秋冬コレクションと翌八三年の春夏コレクションでした。

　それらのコレクションで発表された衣服には、虫喰い穴やかぎ裂き、ほつれなど、「ボロ」のように見えるデザインが施されていました。

　従来、「美」の真反対だと思われがちなその意匠は「ボロルック」と呼ばれ、世界中で賛否両論を呼び、一大センセーションを巻き起こし、ファッション界に衝撃をもたらしました。

　これもまた、「逆転の発想」による固定観念の打破の成功例です。