2021年4月に施行された「改正高年齢雇用安定法」。これにより70歳までの継続雇用が努力義務となり、実質的に定年が消滅した生涯現役社会が到来したともいえるでしょう。だからといって、70歳まで安泰というわけではありません。定年に備えて準備をしておかないと、定年後に大きな格差となる可能性があります。そこで今回は、これまでに5000人以上の定年退職者をサポートしてきた株式会社CEAFOM代表取締役社長・郡山史郎さんの著書『定年格差』(青春出版社)から、定年後も自分らしく働くための考え方を抜粋紹介します。
仕事人生後半戦は「好き」「得意」を掘り下げる
給料や地位や成長に尽力するルールは、仕事人生の前半で終了だ。45歳以降の後半戦は、別の指標で動くのがルール。だからこそ、なるべく自分が「好きなこと」「得意なこと」を掘り下げて、そこに少しでも近い地点で働くことが幸せの秘訣なのだ。
言い換えると、仕事人生の前半戦は好きなことなどできないとも言える。金を稼ぎ、出世を目指し、社外とのハードな競争に日夜追われることになる。突き詰めて考えたとき、それが「好きなこと」かというと、うなずけない人が多いのではないか。
しかし、45歳は少し早いが、50代も半ばになれば、様相が変わりはじめる。金を稼ぐための大きなエンジンである、子どもの教育費や住宅ローンはある程度目処がついてくる。出世競争はもう結果が出た。社外とのハードな競争は、自分より若い現場の第一線にいる人間のほうがよほど担っている。だからこれまでいた会社からは追い出されるわけだが、それはようやく自分本位で、自分の好きなことができるということでもある。